勝訴のご報告
〜支えてくださった皆さまへ〜
勝訴のご報告 と 心からの感謝を申し上げます
このたび、令和7年4月23日 最高裁判所 第三小法廷において、原判決*1に対する補助参加人 石丸伸二氏の上告について、以下のとおり「受理しない」との決定がなされました。これにより広島高等裁判所の判決のとおり、前市長石丸の敗訴が決定しました。
*1 原判決とは、広島高等裁判所 令和6年(ネ)第31号(令和6年7月3日判決)のことです。

〜この5年間を振り返って〜
令和3年6月9日に、被告・石丸伸二氏を広島地方裁判所に提訴してから4年。また、発端となった令和2年9月の「議員から恫喝された」という虚偽発言に遡ると5年になります。この5年間は、事実無根の発言によって名誉を傷つけられ、それを正すための長い闘いでした。石丸氏は、平然と事実と異なることを語り、非を認めず、他人に責任を転嫁する姿勢を取り続けました。
この5年間を以下、
- 裁判に至るまで
- 広島地方裁判所に提訴後・・・【裁判の経過と結果】
- 判決文 第3 当裁判所の判断から
と、3つに分け、振り返りました。
1. 裁判に至るまで
令和2年8月9日、石丸氏は安芸高田市長に就任すると、着任早々の9月30日に「議員数名から恫喝された」と事実無根の内容をSNSで発信。さらに10月20日には「数名」から「1人」へと対象を私に特定し、メディアを通じてその虚偽を拡散しました。
さらに翌月の11月8日市議会議員選挙の告示日に、「恫喝したのは山根議員である」と私の名前を明記した投稿をSNSで発信。私は警察に選挙妨害の疑いで訴えることとなりましたが、選挙期間中も石丸氏からの個人攻撃や誹謗中傷は止まず、非常に苦しい状況が続きました。
選挙後、新たな任期をいただいた私は、自身のホームページで「恫喝発言はなかったこと」「市長の言動は選挙妨害にあたると受け止めている」と明確に記載しました。
これに対し、石丸氏は令和2年12月、弁護士を通じて「恫喝のセリフを明らかにしろ」「ホームページの記載は削除しろ」という内容証明郵便を送付してきました。
恫喝があったとするならば、その証拠を提示するのは主張する側の責任であるはずです。
しかし、石丸氏は終始「恫喝された」と繰り返すのみでした。
私も弁護士を立て、令和3年4月まで弁護士を介したやり取りが続きました。
このやり取りの中で、問題となった9月30日の録音データが開示され、私の発言内容が明らかになりました。しかし、石丸氏は、それでも事実を認めず、録音の一部が欠落していることを理由に「悪魔の証明」*2を求めるような主張を繰り返しました。
*2 悪魔の証明とは、事実がない事を証明することの困難さを指す比喩表現。
ここでは、録音されていない部分に、私の発言がない事を証明するのは難しいことを指します。
こうした経緯を経て、このままでは埒があかないと、私は令和3年6月に提訴を決断しました。
その後も、石丸氏は市長の立場を利用し、特定の議員やメディアに対し、公的な情報発信ツール(市の広報紙やYouTube)を用いて攻撃を続けました。これにより、市政の正常な機能までもが脅かされる事態となりました。
2. 広島地方裁判所に提訴後、広島高等裁判所、最高裁判所に至るまで
【裁判の経過と結果】
- 令和3年6月9日:広島地裁に石丸氏を提訴。
- 令和3年9月3日:告知人(被告)石丸氏は、市長としての行為であり、市が責任を負うべきものとし 安芸高田市に訴訟告知。
- 令和3年9月16日:このため、原告(山根)は安芸高田市を提訴し、石丸氏(個人)と安芸高田市を被告とする損害賠償請求事件の併合審理を要請。
- 令和3年9月29日:石丸氏(個人)と安芸高田市を被告とする損害賠償請求事件が併合される。
- 令和5年12月26日:広島地裁にて一審判決。市長石丸氏の敗訴が確定。
- 令和6年1月4日:石丸氏(補助参加人)が控訴。
- 令和6年1月9日:安芸高田市と私(山根)も控訴。
- 令和6年7月3日:広島高裁にて控訴審判決。市と石丸氏の敗訴が確定。
- 令和6年7月4日:石丸氏が最高裁に上告受理申立。
- 令和6年7月11日:安芸高田市および私(山根)は上告しないことを決定。
- 令和7年4月23日:最高裁第三小法廷が上告を受理しない決定を下し、広島高裁判決が確定。
石丸氏は自らの非を認めず、個人としての責任を公務員としての市長に転嫁し、安芸高田市を巻き込み、さらには、市長を退任後も補助参加人の立場で最高裁に上告し、不受理となりました。
この結果、高裁判決が確定し、市長としての裁量を逸脱したものとして、国賠法1条1項の違法性が認められました。これによって、安芸高田市は、石丸伸二氏に求償権(市が支払った分の返還を求める権利)を行使し、返還を求めることができます。
3. 判決文 第3 当裁判所の判断から
・ 9月30日 悪魔の証明について:当裁判所の判断において、「本件意見交換会は約30分間、そのうち途中から終了までの25分間は録音されているが、そこに本件発言(恫喝発言)は含まれていない。また、被控訴人石丸の本件メモには、塚本議員、熊高議員、そして山根議員の順で発言者の記載がされており、録音最初の発言は熊高議員。発言順序は主観に影響されるものではないから、メモの記載順と認めるのが相当。つまり冒頭の約5分間に原告(山根)が本件発言をしたと推認することはできず、録音中にも本件発言が存在しない以上、原告による発言はされなかったものと認めるのが相当である。本件において同認定を覆るに足りる証拠はない。
・ 10月20日 全員協議会において:被控訴人石丸は、原告が本件発言を否定せずに答弁をしたことなども、原告が本件発言をしたことの根拠と主張するが、同協議会の議事録からは原告が本件発言をしたことを明確に肯定したとか同発言をしたことを前提に答弁をしたとは認められず、被控訴人石丸の上記主張も採用できない。また、原告を名指しするまでは、恫喝の主体を市議会と表現し、9月30日の協議会に出席していた議員の意見を聞きたい旨発言していたのであるから、被控訴人石丸の本件発言の有無を確認する意図を、原告が理解し対応することは容易ではなかったというべき。
・ 10月20日 全員協議会において:発言者として原告を名指ししており、それにより原告の市議会議員としての社会的評価を低下させることは被控訴人石丸においても認識していたところである。そうであれば、真実性及び真実相当性が認められない事実につき、原告が本件発言をしたとの確定的な認識も欠いた状態で、原告の対応により発言の有無を確認するために本件議会内発言をしたことは、市長としての裁量を逸脱したものといわざるを得ず、国賠法1条1項の違法性が認められる。
最後に
5年という歳月の中で、私は一市議として、事実と名誉を守るために闘ってきました。市政のトップであるはずの人物が、事実に反する虚偽の発言を公然と行い、SNSを通じて虚偽と虚構を拡散していくという異常な状況は、看過できるものではありませんでした。
今回の最高裁による決定により、ようやくこの闘いに終止符が打たれました。
ご支援くださった皆さまに、心からの感謝を申し上げます。
山根 温子 拝